ボールマンに対するディフェンス


LastUpdate 9/10/9

 ボールマンに対するディフェンスには、次の3つがあります。

  1. .オフェンスがドリブルの権利を持っている状況(ライブ・ボール・ディフェンス)
  2. .オフェンスがドリブルを終えた状況(デッド・ボール・ディフェンス)
  3. オフェンスがドリブルしている状況(ドリブラー・ディフェンス)

オフェンスがドリブルの権利をもっている状況

スタンス

 レディ・スタンスは、オフェンスがトリプル・スレット・ポジションのときに行うスタンスです。レディ・スタンスは、ワン・ハンド・アーム・アウェイ(60 〜 90 cm)だけ離れて構え、身体はゴールライン(インライン)に対して正対した状態をとり(胴体を垂直にする)、ボールを身体の中心で守るようにします(ゴールラインの原則)。

 足は肩幅よりも広げ、体重を均等にかけ、バランスを保ちます。爪先を身体の正面方向に対してわずかに外側に向け、内側の足(ミドルラインに近い側の足)を 20 〜 30 cm(一足分)前に出します。構えの高さは、同じくらいの身長のオフェンスにマッチアップしている場合に、オフェンスが構えたときの胸の位置に自分の鼻がくるようにします。膝は 120 〜 150 度に曲げ、リラックスした状態で、いつでもオフェンスに反応できる準備を整えます。相手に威圧感を与えるために上体を起こし、胸をはって上体をキープします(反りすぎないように注意します)。

 足が前に出ているほうの手を相手のボールを押さえるように伸ばし、手を大きく広げる。もう一方の腕はややひじを曲げて横に伸ばし、パスコースやドリブルを遮り、オフェンスにプレッシャーを与える為に、掌を相手に見せるように大きく広げます。

 このとき、ディフェンス・プレイヤーは他のプレイヤーに対してボールの位置を知らせるために、“ボール”または“1番”と声をかけます。


ボール・プレス

 ディフェンスの動きを開始した後、ボールマンに対するディフェンスは、その位置にかかわらずプレッシャーをかけなければなりません。理想的には、ボールマンから 60 〜 90 cm の範囲内(オフェンスに抜かれない範囲でできるだけ近い距離)でディフェンスをします。オフェンスを翻弄し、フェイクし、そしてファウルをしないで可能な限りボールマンを困惑させようとします。このためディフェンスはオフェンスよりも激しく動き、オフェンスの動きを誘導するようにオフェンスに対してアプローチします。オフェンスにシュートやパスではなく中途半端なドリブルをさせるか、プレッシャーのある状態でパスを出させることを狙います。


ファン・ディフェンス

 オフェンスにドリブルをさせ、またオフェンスの方向づけを行います。これは、ディフェンスがまずアクションを起こし、それに対する反応をボールマンに起こさせることです。ディフェンス・プレイヤーは、ボールマンをゴールラインに 45 度の方向にドリブルさせます。ボールマンをサイドラインに追い込む目的は、ヘルプサイドを作り出し、そこからチームメイトのヘルプを得ることと 6 番目のディフェンス・プレイヤーであるサイド・ラインのヘルプを利用するためです。このヘルプサイドの状況を維持するために、相手チームのガード同士のパス(リバーサル・パス)を必ず防がなければなりません。リバーサル・パスを簡単に行われると、ディフェンスはより多く動かなければならないので、ノーマークが出来る可能性が大きくなります。

 ボールマンがポイント・ポジションにいる場合は、どちらのサイドラインに行かせるかを判断することは難しいので、相手の利き手とは反対の方向へ行かせるように仕向けます。ウイング・ポジションにいる場合、ベイスラインの方向に行かせるように仕向けます。右ウイングでの構えは、右手がトレース・ハンド、右足が前足です。コーナー・ポジションの場合は、このとき、正対の姿勢をやや斜めにして、ベイスラインの方向をやや開けるようにします。



ドライブインに対するディフェンス

スタンス

  ポイント・スタンスは、オフェンスがドライブインをするために、ボールを腰よりも下げたときに行うスタンスです。このような状態のとき、オフェンスは前傾姿勢になり、シュートもパスもできないので、ディフェンスは最初の状態よりも少し離れて構え(90 〜 120 cm)、レディ・スタンスよりも膝を深く曲げ低い姿勢を取り、ドライブ・インに備えます。身体はゴールラインに対して正対した状態をとります。掌を相手に見せるようにして両手を横に広げ、ドライブインに対していつでも反応できるようにします。

 オフェンスがドリブルを始める際のいかなる動きに対しても対応できるようにディフェンス・プレイヤーは、重心が前後左右に均等になるようにする。ディフェンス・プレイヤーは、ボールマンの腹の動きに注目するようにし、ディフェンス・プレイヤーがボールマンと共に動く時、クロスステップではなく重心移動が小さいステップスライドで動きます。


ディフェンシブ・スタート・ダッシュ

 ドリブル・インするプレイヤーを防ぐには、図2-1A(ストロング・サイドの場合)、図2-1B(ウィーク・サイドの場合)で示されるようなディフェンシブ・スタート・ダッシュ・ステップを行う必要があります。ストロングサイドの場合、(1)ボールマンが足を踏み出したら、ディフェンス・プレイヤーは前の足で強くキックして、進行方向の足を強く踏み出します。そして、(2)踏み出した足に前の足を引き寄せ、(3)引き寄せた足を強く蹴り、足の開いている方向でドリブラーのコースへ大きく足を踏み出す、(4)床を蹴った足を踏み出した足の方へ引き寄せてゴールラインへ入ります(図2-1A)。ウィークサイドの場合、(1)スイング・ステップ(前足を一足分後方へ下げて、スライド足をステップ足にチェンジすること)をしながら前の足で強く蹴り、進行方向へ足を踏み出します(図2-1B)。以下はストロング・サイドの場合と同様です。


図2-1



ボールマンがドリブルしている状況

 オフェンスがドリブルを始めたならば、ディフェンス・プレイヤーは、ドリブル開始前とほぼ同じポジションとスタンスを保ちます。前に出ている手は、オフェンスの膝の位置にのばし、もう一方の手は掌を見せるようにコースを遮ります。そして、ディフェンス・プレイヤーは、ドリブラーをゴールラインに対して45度の方向に向けさせるべきです。

 2つの理由によって、ディフェンス・プレイヤーはボールに手を伸ばしたり、取ろうとしてはいけません。第1に、このようなことをしてもボールをスティールできることは、まれだからです。第2に、ディフェンス・プレイヤーが手を伸ばした瞬間に、足が止まりがちになるからです。ギャンブルをしないでボールにプレッシャーをかけ、オフェンスのミスを誘発させることを狙います。

 ドリブラーに対するディフェンスのステップは、できるだけステップ・スライドで行います。ディフェンスは、オフェンスのコースに入るのではなくゴールラインが身体の中心を通ることとボールからの距離がワン・ハンド・アーム・アウェイとなることを目的としてディフェンスを行います。

 ドリブラーに抜かれた場合のディフェンス・プレイヤーは、“ヘルプ”のコールとラン・グライド・ランを行います。ラン・グライド・ランは、バックコートなどでドリブラーにスピード・ドリブルで縦のラインを抜かれそうになったときやハーフコート・ディフェンスなどでオフェンスにドライブインされたときに用います。このステップではステップ・スライドでコースを止めることを諦め、ドリブラーの脇を走りながらパスコースとドリブラーのコースを限定させ、カバーリングをしやすくさせることを狙います。



オフェンスがドリブルを終えた状況

 スティック・スタンスは、オフェンスがドリブルを止めたときや膝が伸びてパスしかできないような状態のときに行うスタンスです。このようにディフェンスのプレッシャーからボール・キープのために膝が伸び上がった状態やシュートもしくはパスしかできないような状態を“スティック”と言います。

 オフェンスが身体を起こし、ボールを頭の上に構えれば、ドリブルができないので、ディフェンスはオフェンスに接近してプレッシャーを与えます。同時に、両手を上げて、ボールのところに置くようにして、他のプレイヤーにオフェンスがスティックの状態であることを声を出して知らせます(“スティック”とコールします)。このとき、ボールを取りに行くのではなく、相手のパスコースを遮るようにして、ディフェンスは膝を曲げていなければなりません(自分の鼻を相手の胸の位置になるように接近します)。

 相手が大きくて頭の上にボールをキープされると、ボールに手が届かない場合は、両手をまっすぐに伸ばし、相手の肘に両手がいくようにディフェンスします。決して自分の身体より前に手を出さず、頭の上にまっすぐに両手を上げるように守ります。このような状況時には、他のディフェンスは逆をつかれない限り自分のマークマンが素早くボールを受け取ることを決して許さないようにします。






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