速攻のディフェンス

LastUpdate 2000/7/17

 

 オフェンスが攻め始めるときに、ディフェンスが十分に態勢を整えることが出来ていれば簡単に得点を許されることはないでしょう。しかし、オフェンスからディフェンスのトランジションの時は、マッチアップがきちんとできていない状態、つまり態勢を整える前に攻められると、非常にオフェンスに有利な状態が出来あがり、イージーシュートを許す可能性を多く持ちます。このため多くのチームでは速攻を含めたトランジション・オフェンスを積極的に狙います。

 オフェンスからディフェンスへのトランジションで意識すべきことは、オフェンスからディフェンスへ素早く意識の切り替えを行い、相手に時間をかけさせてボール運びをさせることを狙うことです。特に速攻のディフェンスにおいて、パスカットやボールスティールを狙うことなどのギャンブリング・プレイをすると、そのプレイの失敗により相手にイージーシュートを許すことになります。そのためにディフェンスとしては、まずロングパスをさせないこと、次にドリブルでゆっくりと運ばせることをさせることを狙うべきです。

 相手チームに速攻を出させないためには、まずオフェンスの終わり方が重要になります。つまり、パスカットやドリブル・スティールをされてしまえば1マン速攻を許す可能性が非常に高くなります。このようなオフェンスの終わり方ではなく、シュートで終わるようにすれば速攻から得点を決められるチャンスはかなり減ります。不用意なパスミス注1は特に注意しましょう。そして、シュートで終わった場合、図1に示すように、3人のプレイヤーがリバウンドに参加します。そして残りの2人のプレイヤーのうち1人はハーフライン近くまで下がり、速攻に備えます。もう1人のプレイヤーはポイントポジションに位置して速攻への備えと高く跳ね上がったリバウンド(ハイ・リバウンド)に備えます。最終的には、3人のリバウンド・トライアングルを形成し、ハイ・リバウンドと前方のセイフティマンに1人、後方のセイフティマンに1人という配置をとります(図2)。

 実際のゲームでは、リバウンドにもセイフティにも参加しないプレイヤーが存在することがありますので、十分に練習をしてシュート後の動きに関して意識付けを行う必要性があります。

 
図1   図2

 それぞれのプレイヤーは相手チームがリバウンドを確保した後、図3に示されるように動いて、相手にボールをゆっくりと運ばせるように仕向けます。

 ディフェンス・リバウンドをとられた後、後方のセイフティマンはボールを見ながら素早くゴール下まで戻ります。

 リバウンド・トライアングルを形成した3人のうちリバウンドを確保したプレイヤーに最も近いプレイヤーがボールマンにプレッシャーをかけ、リバウンド後にすぐにパスを出させないようにします。特にロングパスを出させないようにし、横へのパスをさせるようにします。

 前方のセイフティマンは、リバウンド獲得後にサイドに出されたパス(アウトレットパス)を受けたプレイヤーにマッチアップし、そこからサイドライン側へドリブルさせるようにディフェンスをします。

 リバウンドに参加したプレイヤーの残りの二人はすぐにリング下に向かってダッシュします。

 
図3   図4

 後方のセイフティマンとゴールに素早く戻ったリバウンダーの二人で三角形のゾーン(セミ・ゾーン)を形成する(図4)。トランジションでの不十分なマッチアップの状態でマンツーマンを行うとノーマークを比較的簡単に作り出されてしまいますので、速攻を押さえるディフェンスとして初期の状態ではセミゾーンを形成することにより、リング下を強く守ることが出来ます。

 相手チームのリバウンドマンにプレッシャーをかけていたプレイヤーは、アウトレットパスが行われた後、素早くゴール下へ戻ります。そして、4人のプレイヤーが3点ラインの内側に集まった段階で、ボールマン以外の4人に対してマッチアップを行い、マンツーマンに戻します。ドリブルをしているボールマンにはそのままのプレイヤーがマッチアップします。

 

注1:

 相手に得点をプレゼントするようなパスミスは絶対に行っては行けないミスの一つである。プレイヤーにはオフェンスにおいてどのようなミスが許されて、どのようなミスが許されないのかを理解させる必要がある。
 例えば、ディフェンスにプレッシャーを掛けられ5秒オーバータイムの危険がある場合に、ディフェンスの状態を確認せずにパスしたことによってパスカットされてしまえば、相手に得点を許す危険性が非常に大きくなります。それよりもそのまま5秒オーバータイムのバイオレーションにすればそこからのディフェンスを頑張れば挽回のチャンスは十分に残されているのである。

 

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